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Born(梵)の日本酒:氷温熟成で知られる福井の酒蔵

Born Sake: hand-drawn poster of rice, ice-temperature aging room and the Born bottle with Fukui snow scenery

Born全体を見ると、澄んだ果実味が前に出る一本もあれば、ときしらずのように淡い黄金色と熟成香を持つ一本もあります。両者をつなぐのは時間です。蔵元は出荷前に、酒を氷点下の温度で熟成させています。

加藤吉平商店は、福井県鯖江市で梵(Born)を造っています。この記事では、まず銘柄と選び方を紹介し、そのあとで背景にある低温熟成、高精米、純米造りを説明します。

目次

Bornとはどんな日本酒?

Bornの四つの特徴を表したイラスト。福井県鯖江市、氷点下での熟成、高精米、純米のみの醸造

Bornは、福井県鯖江市の加藤吉平商店が造る日本酒ブランドで、蔵元は1860年に酒造りを始めました。造るのは純米酒だけで、すべての銘柄を氷点下の温度で熟成させてから販売しています。親しみやすい純米55から、精米歩合20%まで磨いた米で造る看板銘柄の超吟まで、幅広くそろえています。

Bornの基本情報

日本語名
梵(読みは「ぼん」)。英語表記はBORN
蔵元
加藤吉平商店
所在地
福井県鯖江市吉江町(北陸地方)
醸造開始
1860年。1963年に酒名を梵ブランドに統一
酒の種類
純米酒のみ(純米から純米大吟醸まで)
特徴的な手法
蔵元によると1年以上の氷点下熟成。蔵元が公表する平均精米歩合は34.5%
最初の一本のおすすめ
吟撰(手ごろな価格の純米大吟醸)
米
山田錦、五百万石、福井県のさかほまれ

Bornはどこが違うのか?

高精米の米を使う蔵も、純米酒を造る蔵も多くあります。Bornの特徴は、この二つに加えて、全銘柄で長期間の低温熟成を行っている点です。下の表では、それぞれの要素が何を意味し、どんな効果が期待できるかをまとめています。

01氷点下熟成仕上がった酒が、出荷までにゆっくり変化します。なめらかさと、まとまりのある香りを生むことをねらいとしています。
02高精米米粒の外側をより多く削ります。すっきりと洗練された味わいを支えます。
03純米のみ醸造アルコールは加えません。米、麹、水が味わいの土台になります。

知っておきたいBornの人気銘柄

Bornの6本を紹介するイラスト:超吟、日本の翼、さかほまれ35、吟撰、ときしらず、純米55

Bornの銘柄は多彩ですが、ここで取り上げる6本で主なラインアップが分かります。普段使いの純米酒から、予約限定の看板銘柄までそろっています。蔵元の公式価格を見ると、Bornの国内での価格帯の幅も分かります。

銘柄種類米精米歩合アルコール度数ブレンド・熟成のメモ公式価格(720ミリリットル)
超吟純米大吟醸山田錦20%16%-10°Cで約5年熟成させた酒が中心¥18,700
日本の翼純米大吟醸山田錦20%と35%のブレンド16%0°C以下で約2年熟成させた酒を含む¥6,600
さかほまれ35純米大吟醸さかほまれ35%16%明記なし¥5,500
吟撰純米大吟醸山田錦50%15%商品ページには0°C以下で「最長1年」とあります¥2,200
ときしらず純米吟醸山田錦、五百万石55%15%長期の氷温熟成酒をブレンド¥1,870
純米55純米山田錦、五百万石55%14%明記なし¥1,540

仕様と国内の税込小売価格は、蔵元の商品ページで2026年10月に確認したものです。熟成に関する記載は、出荷される各ブレンドの説明であり、ちょうどその期間寝かせた単一のロットを指すものではありません。価格、仕様、販売状況は変わることがあるため、購入前に公式サイトでご確認ください。

Born 超吟:看板銘柄

超吟は、Bornの考え方が一本に集約された銘柄です。まず、兵庫県で契約栽培された山田錦を使い、精米歩合20%まで磨きます。そのうえで、-10°Cで約5年熟成させた酒を中心にブレンドします。販売は事前予約のみのため、特別な機会のための一本という趣もあります。

Born 日本の翼

日本の翼は、20%と35%に磨いた純米大吟醸をブレンドし、約2年熟成させた酒も含みます。蔵元によると、日本政府専用機の機内酒として公式に採用されています。また蔵元は、国賓を歓迎する晩餐会の乾杯にも使われたとしています。グラスでは、華やかな香り、やわらかな口当たり、すっきりと小気味よい後味が期待できます。

Born 吟撰

吟撰は精米歩合50%の純米大吟醸で、価格は超吟よりかなり手ごろです。2010年、Born 吟撰はInternational Wine Challenge(IWC)で「IWC Champion Junmai」に選ばれました。これは、同年に出た日本酒部門のチャンピオン賞の一つです。蔵元のページでは「Champion Sake」と紹介されていますが、IWCは総合の優勝者を一つだけ挙げてはいません。

Born さかほまれ35

この純米大吟醸は、福井県独自の酒米であるさかほまれだけを使い、精米歩合35%まで磨いています。蔵元は、果実のような香りが口に含むとぶどうのような印象に変わり、輪郭がはっきりして奥行きもある味わいと説明しています。合わせる料理としては、地元の魚介、山の幸、若狭牛も挙げています。

Born ときしらず

ときしらずは純米吟醸です。蔵元は、淡い黄金色で熟成香があると説明し、長期の氷温熟成酒をブレンドしているとしています。熟成が酒に何をもたらすかを手軽に確かめられる一本で、特にやさしく温めると違いが分かりやすくなります。

Born 純米55

純米55は普段使いの一本です。それでも蔵元は、フレッシュな香り、しっかりした味わい、キレのある後味と説明しています。また、温めると酸味と奥行きが出るとし、家庭料理にも洋食にも合うとしています。

最初に選ぶBornはどれ?

最初に試すBornの銘柄を示すイラスト(吟撰から超吟まで)

Bornの純米大吟醸から始めたいなら、当編集部のおすすめは吟撰です。もう少し手ごろな価格で、温度の幅も広く楽しめる入門なら、代わりに純米55を選んでください。そこからは、試したいことに応じて選びます。以下の比較は、当編集部の試飲ではなく、蔵元の商品説明に基づいています。

初めての一本吟撰手ごろな価格で味わう純米大吟醸らしさ
普段の食事や燗酒に純米55しっかりした骨格と、幅広い飲み方
はっきりした熟成感を楽しむならときしらず熟成香と淡い黄金色
福井県産の米を味わうならさかほまれ35福井県生まれのさかほまれだけで造る
贈り物に日本の翼物語性があり、洗練された味わいで、価格は超吟より抑えめ
看板銘柄を味わうなら超吟精米歩合20%と、5年熟成酒を中心にしたブレンド

Born 超吟と日本の翼の違いは?

超吟は、より希少で、とことん磨いた看板銘柄です。精米歩合20%の山田錦を使い、-10°Cで約5年熟成させた酒を中心にブレンドしています。一方、日本の翼は、20%と35%に磨いた純米大吟醸を組み合わせ、約2年熟成させた酒も含みます。その結果、価格は超吟の約3分の1です。

吟撰、純米55、ときしらずのどれ?

蔵元の説明によると、吟撰は精米歩合50%で、手ごろな価格で純米大吟醸に踏み出せる一本です。一方、ときしらずははっきりと熟成感があり、うまみのある料理や、やさしい燗に向きます。純米55は3本のなかで最も価格が低く、冷やから熱燗まで最も幅広い温度で楽しめます。

Bornはどんな味?

Bornの味わいを示すイラスト。果実味、熟成感、やわらかさとすっきり感、しっかりした骨格とキレ

Bornは全体として、鋭い辛口というより、ふくよかで風味豊かな傾向があります。たとえば蔵元は、多くの銘柄を「芳醇旨口」、つまりただ辛いだけでなく、ふくよかで香りがあり、風味豊かな酒と説明しています。ただし、米、精米歩合、熟成期間によって違いは大きいため、ブランド全体の味を一つに決めるより、下の軸で見るほうが参考になります。

果実のような香りさかほまれ35 ⟷ ときしらず熟成香、淡い黄金色
しっかりした骨格、キレのある後味純米55 ⟷ 日本の翼やわらかな口当たり、すっきりした後味
冷やして日本の翼 ⟷ 純米55、ときしらず燗で

これらの位置づけは、蔵元の商品説明をもとにした当編集部の解釈であり、分析値でも、当編集部で並べて試飲した結果でもありません。

香りと色

蔵元は、上位の銘柄の香りを熟した果実のようだと説明し、氷点下での熟成と結びつけています。たとえばさかほまれ35は、口に含むとぶどうのような印象になります。一方、ときしらずは、蔵元によると熟成香があり、淡い黄金色をしています。

口当たりと後味

蔵元によると、日本の翼はやわらかな口当たりで、後味はすっきりと小気味よい印象です。一方、純米55は骨格がしっかりしていて、後味にキレがあります。蔵元は、温めると酸味と奥行きが前に出てくるとしています。

Bornは、温かい環境で熟成させる古酒とどう違う?

Bornの低温での熟成は、琥珀色になる一部の古酒を生む、より温かい環境での熟成とは異なります。古酒はナッツやキャラメルのような香りが出ることがあります。これに対して、Bornの公式の説明では果実味となめらかさが強調され、ときしらずについては淡い黄金色と熟成香が挙げられています。ただし、古酒のすべて、あるいはBornのすべての銘柄が一つのパターンに当てはまるわけではありません。

氷温熟成:Bornを特徴づける技法

Bornのタンクから瓶までの四つの工程を示すイラスト:醸造、0°C未満での熟成、ブレンド、冷えたまま出荷

Bornの氷温熟成とは、出荷前に、仕上がった酒を0°C未満の氷点下の温度で管理しながら熟成させることです。発酵の一部ではなく、醸造後の工程です。蔵元によると、すべての銘柄がこの工程を1年以上経ており、期間は商品やブレンドによって異なります。

タンクから瓶まで:低温が関わる場面

  1. 醸造米、麹、水が発酵して酒になります。
  2. 0°C未満で熟成蔵元によると、期間は1年から10年以上に及びます。
  3. ブレンド蔵元は、熟成年数や精米歩合の異なる酒を、銘柄ごとに組み合わせます。
  4. 冷えたまま出荷スタッフが事前に冷やした部屋で瓶を梱包し、夕方に出荷します。

蔵元はこの工程を氷温熟成と呼んでいます。この記事では氷点下での熟成とも表現します。この言葉は、熟成に使う温度帯を表すものです。なお、蔵元は米を凍らせることも、酒を凍結濃縮することも説明していません。熟成全般については、当サイトの日本酒の熟成のガイドをご覧ください。

なぜ0°C未満で熟成させるのか?

何より、温度は日本酒の変化の速さを左右します。2022年に岐阜県の食品研究機関が行った研究では、純米大吟醸を15〜60°Cで保存しました。30°C以上のサンプルは、評価者により過熟または劣化と判定され、著者らは品質を保つため15°C以下を推奨しています。

この研究は、温度が高いと望ましくない変化が早まるという一般的な点を裏づけています。ただし、この研究は氷点下の温度やBornの手法を検証したものではありません。蔵元は、その工程が熟した果実のような香りとなめらかな質感をもたらすと説明しています。これは蔵元による説明として受け止めるのが適切で、実証された結果ではありません。

どのくらいの期間、どのくらいの低温で?

条件は銘柄によって異なります。たとえば超吟は、-10°Cで約5年熟成させた酒を中心にブレンドしています。日本の翼には、0°C以下で約2年熟成させた酒が含まれます。吟撰については、商品ページに0°C以下で「最長1年」とあります。ただ、この表現は蔵元の全体的な「1年以上」という説明とは食い違います。両者がどう両立するのかは、確認できませんでした。

これらの数字はブレンドについてのものである点に注意してください。たとえば超吟は、ちょうど5年間寝かせた単一のロットではありません。蔵元は、5年熟成の酒を軸に組み立てています。

ただの冷蔵とは違うのですか?

いいえ。家庭での冷蔵は、購入後の保管です。Bornの工程は、計画的な製造段階であり、氷点下で管理された熟成、銘柄ごとの熟成期間、出荷前のブレンドが含まれます。瓶を冷蔵庫に入れても、この工程を再現したり、続けたりすることにはなりません。

精米と純米造り

米粒が精米歩合70%から20%まで小さくなっていく様子を示すイラスト

Bornは、米の外側に集まるたんぱく質、脂質などの成分を減らすために、米を深く磨きます。それによって、蔵元はすっきりと洗練された味わいをめざしています。とはいえ、精米歩合が低いからといって、自動的に良い酒になるわけではありません。

精米歩合とは?

国税庁は、精米歩合を、玄米に対する精米後の米の重さの割合と定義しています。つまり、この数字は削った量ではなく、残った量を表します。詳しくは、当サイトの精米のページをご覧ください。

米粒にどれだけ残るか(イメージ)

70%品質の線引きではなく、目安となる数字
50%純米大吟醸は50%以下であることが条件
34.5%蔵元が公表するBornの平均値
20%Born 超吟

Bornの平均精米歩合34.5%

蔵元は、全体の平均精米歩合を34.5%と公表していますが、この平均の算出方法は説明していません。さらに、自社で精米も行っています。蔵元によると、11代目の当主が最新の精米機を、制御盤の段階から自ら設計しました。

なぜそこまで磨くのでしょうか。国税庁は、米の外側にはたんぱく質、脂質、灰分、ビタミンが多く含まれると説明しています。酒造りにはこれらも必要ですが、多すぎると香りと味を損なうことがあります。とはいえ、60%や70%に磨いた米で造られる優れた日本酒も多く、精米歩合は品質の順位ではありません。

純米とは?

純米は、醸造アルコールを加えずに造った日本酒のことです。加藤吉平商店は純米酒だけを造っています。日本酒造組合中央会と鯖江市も、同様に紹介しています。表示上の原材料は、米、米麹、水です。

日本の表示基準では、純米大吟醸はもう一段、条件が厳しくなります。米と米麹だけを使い、アルコールを加えず、精米歩合が50%以下であることが必要です。さらに、麹米を15%以上使うことや、吟醸造り、香り、外観の基準を満たすことも求められます。

とはいえ、純米は製法上の区分であり、味を約束するものではありません。少量の醸造アルコールを加えるのは正当な技法で、本醸造や吟醸の優れた日本酒にも使われています。

Bornに合う料理は?

Bornの料理との相性を示すイラスト:刺身とかに、焼き魚、煮物と味噌料理、くせの少ないチーズ

Bornのなめらかで丸みのある味わいは、はっきりしていながら穏やかな味の料理によく合います。蔵元は、ときしらずには日本の伝統的な料理を、さかほまれ35には福井の魚介と牛肉を挙げています。ただし、以下のその他の組み合わせは当編集部からの目安であり、決まりごとではありません。

刺身とかに吟撰、日本の翼すっきりした後味が、繊細な魚介の甘みを引き立てます。
焼き魚と季節の料理さかほまれ35果実味と奥行きがあり、塩気や焼き目にも負けません。
煮物と味噌料理ときしらず(やさしく温めて)熟成香が、深みのあるうまみの味つけと響き合います。
くせの少ないチーズと家庭料理純米55しっかりした骨格と酸味が、脂をすっきり切ってくれます。

魚介と上質な和食

福井県は日本海に面しているため、魚介から始めるのが自然です。すっきりしたBornの純米大吟醸は、白身魚の刺身や、軽く味つけした越前がにによく合います。濃い醤油やわさびは繊細な日本酒を損ねることがあるので、控えめにしてください。

こってりした料理と海外の料理

より深い味わいの料理には、ときしらずのような熟成タイプのブレンドが向いています。一方、純米55は、蔵元が家庭料理にも洋食にもすすめる銘柄で、くせの少ないチーズやローストチキンも試してよいでしょう。基本的な考え方については、当サイトの日本酒と料理の組み合わせのガイドをご覧ください。

Bornの飲み方と保存方法

Bornの飲み方と保存のイラスト:冷やす、燗にする、熱と光を避ける、冷蔵庫で立てて保存

上位のBornは、香りを引き立てるために冷やして出します。純米55とときしらずは、常温や燗でも楽しめます。保存では、熱、光、急な温度変化から瓶を守り、開栓後は冷蔵してください。何より、瓶や輸入元のラベルに書かれた指示を優先してください。

飲む温度とグラス

Bornの商品ページには、冷やす、常温、燗の温度帯が示されていますが、推奨は銘柄ごとに異なります。たとえば日本の翼は、主に冷やして飲むものとされています。一方、ときしらずは、冷やして、常温で、あるいはやさしく温めて、のいずれもすすめられています。

楽しみたい燗酒なら、純米55かときしらずから始めるのがおすすめです。また、上位の銘柄にはワイングラスを使うと、香りをとらえやすくなります。選択肢の比較は、当サイトの日本酒のグラスとお猪口のページにあります。

開栓前後の保存

蔵元がすでに丁寧な熟成を終えているので、家庭でそれを損なわないようにしましょう。開栓前は、熱、直射日光、急な温度変化を避けて保管します。冷蔵は、とくに繊細な上位の日本酒にとって堅実な選択です。ただし、必要な条件は商品によって異なることがあるため、瓶や輸入元のラベルにある保存方法に従ってください。

開栓後は、栓を閉め直して冷蔵庫で立てて保存し、その後の数日間は香りの変化を確かめてください。すべての瓶に共通する期限はありません。決まった日付よりも、果実の香りが弱まったり、フレッシュさが失われたりするのを目安にするほうが確かです。詳しくは、当サイトの日本酒の保存方法のガイドをご覧ください。

手元に届くまでのケア

蔵元は、輸送も温度管理の一部と考えています。スタッフは事前に冷やした部屋で瓶を梱包し、温度変化の小さい夕方に出荷します。その結果、翌朝早くに届きます。

米、水、福井のルーツ

Bornを支える米と水を示すイラスト:山田錦、五百万石、さかほまれ、白山の井戸水

Bornの地域性は、福井県の蔵、井戸水、そして福井県産の五百万石とさかほまれに由来します。一方で、上位の銘柄は、兵庫県で契約栽培された山田錦にも頼っています。つまり、福井の資源と、日本で最も評価の高い酒米産地のひとつの米を組み合わせたブランドです。これらの品種が食用米とどう違うかは、当サイトの酒米のガイドで説明しています。

山田錦と五百万石

まず、Bornの山田錦は、兵庫県の最上位「特A」地区で契約栽培されたものです。一方、五百万石は蔵元を地元に結びつける品種です。農林水産省の2025年産の推計によると、日本の五百万石のうち福井県産は約14%です。この2品種を合わせると、全国の酒米生産量の半分以上を占めます。

さかほまれ:福井県独自の酒米

さかほまれは、福井県が育成した酒米です。品種登録の記録によると、山田錦と越の雫の交配で生まれ、2023年1月18日に登録されました。また、福井県の農業試験場は、精米で35%まで削れると報告しており、大吟醸に向くとしています。

白山山系の水

蔵元は、深さ約184メートルの井戸から水を汲み上げています。具体的には、その水源を白山山系の地下水としています。水は発酵に欠かせませんが、米、精米、熟成と並ぶ要素の一つにすぎません。

加藤吉平商店の歴史:1860年から

1860年から2010年までのBornの歩みを示す年表のイラスト

蔵の歴史はいくつかの時代にまたがり、Bornという名前が生まれたのは比較的遅い時期です。ここでは、蔵元が語る主な出来事を順にたどります。

  1. 1860両替商や庄屋を務めていた先祖が、酒造りを始めます。
  2. 昭和初期越の井の名で販売された酒が、北陸の酒の品評会で4年連続で最高賞を受けます。
  3. 1963酒名を梵のブランドにまとめます。
  4. 1968大吟醸の本格的な商業販売を始めます。
  5. 19713年熟成の純米酒「Born Sannen-shu Old」が発売されます。
  6. 2000Gin no Tsubasaがロンドンで第1位を獲得し、日本の翼に改称されます。
  7. 2010Born 吟撰が、IWC Champion Junmaiに選ばれます。

越の井からBornへ

Bornになる前、蔵は酒を越の井の名で販売していました。蔵元の説明によると、昭和天皇の即位の礼にあたって、地方の酒の一つに選ばれたとのことです。その後1963年に、蔵元は酒名を梵のブランドにまとめ、1966年に日本で商標を登録しました。

初期の大吟醸と熟成酒

蔵元は、1968年に大吟醸の商業販売を始めたとしています。また、1969年のChotokusen Deluxeを、日本初の大吟醸商品と位置づけています。ただし、ほかの蔵にもそれぞれ初期の大吟醸の歴史があり、同じ福井県の黒龍もその一つです。そのため、ここでの「日本初」は蔵元の主張として受け取ってください。

また、蔵元は1971年のSannen-shu Oldを、日本で初めて市販された熟成酒としています。熟成酒そのものはそれよりずっと前からあったため、この主張は現代の市販品についてのものです。いずれにしても、蔵が何十年も前から熟成に目を向けていたことが分かります。より広い背景については、当サイトの近代の日本酒の歴史をご覧ください。

海外での評価

Bornは1990年代後半から、海外でも受賞するようになります。蔵元によると、1998年にBorn Hyōzanがトロントの日本酒の祭典で第1位となりました。その2年後には、Gin no Tsubasaがロンドンで受賞しています。現在、蔵元は118か国に輸出しているとしています。鯖江市の紹介では108か国とされていますが、どちらの資料も、更新時期や数え方が異なるのかどうかは説明していません。

Bornという名前の意味は?

漢字の梵は「ぼん」と読み、仏教の語彙に由来します。地域紹介サイトBimeguri Fukuiによると、梵はサンスクリット語の「真理」の考え方を表します。一方、同じ紹介では、英語表記のBORNは創造を表すとしています。つまり、BORNはブランドとしての表現であり、梵の直訳ではありません。

福井のBorn蔵を訪ねる

鯖江のBorn蔵元の店を訪れる際の案内を示すイラスト:営業時間、日曜休業、見学と試飲なし

蔵は鯖江市吉江町にあり、敷地内には直売の店舗もあります。ただし、日本酒造組合中央会は、蔵では見学や試飲を行っていないとしています。見学ではなく、買い物のつもりで訪れましょう。

加藤吉平商店の店舗(2026年10月現在)

住所
福井県鯖江市吉江町1-11
営業時間
蔵元によると、平日と土曜は9:00から17:50(鯖江市の資料では9:00から18:00とありますが、蔵元の営業時間を基準にしてください)
定休日
日曜と祝日。年末年始とお盆には不定期の休みがあります。
見学・試飲
行っていません

内容は変更される場合があります。お出かけ前に、公式サイトで確認するか、電話でお問い合わせください。

福井県を訪れたら、地元の食べ物だけでも足を運ぶ価値があります。店に寄る前後に、福井のおろしそばを味わってみてください。大根おろしをのせた冷たいそばです。

Bornにまつわるよくある誤解

Bornに関する四つのよくある誤解を示すイラスト

「精米歩合20%なら最高の日本酒だ」

洗練された味わいを支えますが、精米歩合だけで品質が決まるわけではありません。

「純米は有機、または無添加という意味だ」

純米とは、醸造アルコールを加えていないという意味です。製法上の区分であり、有機の表示ではありません。

「熟成した日本酒はすべて茶色になる」

色は時間と温度で決まります。ときしらずは茶色ではなく、淡い黄金色です。

「どのBornも山田錦を使っている」

銘柄によっては、山田錦ではなく五百万石や福井県のさかほまれを使っています。

まとめ:自分に合うBornは?

初めてのBornなら、まず吟撰から始め、少し冷やして飲むのがおすすめです。次に、ときしらずをやさしく温めて、時間が酒に何を加えるのかを味わってみてください。超吟や日本の翼はお祝いの席のためにとっておき、福井県産の米に興味があるならさかほまれ35を探してみてください。はっきりした個性を持つ蔵をほかにも知りたい方は、当サイトの日本酒ブランドのページもご覧ください。

編集部注:仕様、国内の小売価格、蔵元の詳細は、2026年10月に加藤吉平商店の公式サイトで確認しました。蔵元によるものとして記した味の説明は、公式の商品説明をもとにしています。蔵元によるものと記していない料理の組み合わせは、当編集部のおすすめです。

Bornに関するよくある質問

ブランドについて

Bornとはどんな日本酒ですか?

Bornは、福井県鯖江市の加藤吉平商店が造る、純米酒だけのブランドです。蔵元は、すべての銘柄を出荷前に0°C未満で熟成させています。看板銘柄のBorn 超吟は、精米歩合20%の米を使います。

Bornはどう読みますか?

日本語名の梵は「ぼん」と読みます。BORNは英語のブランド表記で、どちらも同じ日本酒を指します。

Bornはいつ創業しましたか?

蔵元は1860年に酒造りを始めました。1963年に酒名を梵のブランドにまとめ、1966年に日本で商標を登録しました。

熟成と銘柄

氷温熟成は凍結濃縮という意味ですか?

いいえ。Bornは、発酵後の仕上がった酒を氷点下で熟成させることを「氷温熟成」と呼んでいます。蔵元は、これを凍結濃縮や、凍らせた米を使った醸造とは説明していません。ただし、公開されている説明では、熟成の各温度で酒がどのような物理的状態にあるかまでは示されていません。

Bornの日本酒はすべて同じ期間熟成されていますか?

いいえ。蔵元は、全銘柄が氷点下で熟成されるとしていますが、期間やブレンドは銘柄ごとに異なります。超吟は約5年熟成させた酒を中心にしており、日本の翼は約2年熟成させた酒を含みます。また、吟撰のページには「最長1年」とあり、蔵元の全体的な「1年以上」という説明とは食い違っています。

Born 超吟は高い価格に見合いますか?

それは何を求めるかによります。超吟は、単に吟撰より上位の酒というより、Bornの看板としての表現です。価格には、精米歩合20%、長期の低温熟成、ブレンド、予約限定の販売が反映されています。多くの購入者にとっては、吟撰のほうが最初の一本として現実的です。

Bornは甘口ですか、辛口ですか?

銘柄によります。蔵元は、多くの日本酒を、鋭い辛口ではなく、ふくよかで風味豊かだと説明しています。米、精米歩合、熟成期間のすべてが味のバランスを左右するため、個々の銘柄で比べてみてください。

さかほまれとはどんな米ですか?

さかほまれは、福井県が山田錦と越の雫から育成した酒米です。2023年に日本で品種登録され、Bornはさかほまれ35に使っています。

購入と訪問

Bornの蔵は見学できますか?

鯖江の蔵にある店舗には行けますが、見学や試飲は行っていません。また、店舗は日曜と祝日が休みなので、お出かけ前に営業時間を確認してください。

Bornは海外でも買えますか?

はい、多くの市場で買えます。蔵元は現在118か国に輸出しているとしており、鯖江市は108か国としていますが、資料はこの差の理由を説明していません。海外では、「Born」と梵の両方で検索し、日本の小売価格と比べる前に、輸入元のラベルと容量を確認してください。

参考資料

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About the Writer

Ryo Iwaのアバター Ryo Iwa Founder and Editor, Food in Japan

Ryo Iwa は foodinjapan.org の運営者兼編集者です。日本で生まれ育ち、各地への取材や市場めぐり、そして外国語圏の読者にはほとんど届かない日本語の一次資料をもとに記事を書いています。醸造研究機関の刊行物や業界用語集がその中心です。一次資料までたどれない数値については、その旨を記事内に明記しています。

Google マップのローカルガイドとして10年以上活動し、クチコミ1,850件以上、写真42,000枚以上を投稿。閲覧回数は数億回にのぼります。それ以前は日本・米国・英国で20年間 IT コンサルタントとして働いていました。

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