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城下かれい:大分が誇るマコガレイ

shiroshita karei

別府湾に面した城跡の下では、海底から真水が湧き出ています。大分県日出町は、地元のマコガレイに独自の名前を付けています。その名は「城下かれい」。別の魚種ではなく、土地、歴史、地元の食文化によって形づくられた地域名です。

このガイドでは、名前の意味、味わい、城との関わりを説明します。あわせて、旬、定番の料理、祭り、そしてこの魚が見つけにくくなってきた理由も取り上げます。

目次

城下かれいとは

城下かれい:別府湾の湧水の上にある日出城と、マコガレイの刺身の皿

城下かれいは、日出町が地元で獲れるマコガレイにつけた名前です。日出町は九州の大分県にあり、別府湾に面しています。この名前はとくに、海底から真水が湧き出る旧日出城の下の海と結びついています。

早わかり:城下かれい

和名
城下かれい
魚種
英名 marbled flounder、学名 Pseudopleuronectes yokohamae(和名:マコガレイ)
産地
大分県日出町(別府湾)
地元の環境
海底に淡水の湧水がある日出城跡の下の海域と結びついている
旬
おおよそ4月から9月。5月から7月上旬が最も良いとされる(地元の観光協会)
定番の料理
刺身、唐揚げ、煮付け
別名
殿様魚(とのさまざかな)、つまり「殿様の魚」

魚種そのものは日出だけのものではありません。地元ならではの名前、海辺の環境、料理としての評判、そして歴史が、この魚を特別なものにしています。

英語名と魚種

この魚種は、英語では通常 marbled flounder と呼ばれます。学名はPseudopleuronectes yokohamaeで、日本語ではマコガレイといいます。GBIFなどの生物多様性データベースでは、別名として“marbled sole”も挙げられています。

この二つ目の名前は紛らわしいことがあります。marbled flounder はカレイ科(Pleuronectidae)に属し、ウシノシタ類(true soles)ではありません。そのため、英語では “flounder” のほうが分かりやすい言葉です。

日本のメニューにおけるカレイとヒラメ

日本のメニューでは、平たい魚を指す言葉が主に二つ使われます。カレイは通常、この魚のようなカレイ科の魚を指し、ヒラメは別の魚(英語では olive flounder)を指します。よく知られた言い回しが目安になります。「左ヒラメに右カレイ」です。

特徴カレイ(例:城下かれい)ヒラメ
一般的な英語名righteye flounder。マコガレイは marbled flounderolive flounder、または Japanese flounder
目のある側通常は右側通常は左側

食事をする人のための一般的な目安です。例外もあり、呼び方は地域によって異なることがあります。

なぜ日出城と結びついているのか

日出城の断面図。別府湾の海底から湧き上がる淡水の湧水と、カレイ

「城下」は、しろ(城、城郭の意)とした(下、下方の意)を組み合わせた言葉です。同じ漢字は通常じょうかと読み、「城下町」のように使われますが、この魚にはしろしたという読みが使われます。

観光庁によると、大名の細川忠興が17世紀初めに、親族の木下延俊のために日出城を築きました。現在、その跡地には小学校が建っています。一方、日出町は、城の下の湧水を含んだ海域で獲れたカレイがとてもおいしかったため、その名が定着したと説明しています。

別府湾の海底の淡水

日出町観光協会は、近くの山に降った雨が何年もかけて地下でろ過され、町なかや沖合に湧き出していると説明しています。日出町の水産のページでも、城跡の下の海底から淡水が湧き出していることが確認されています。

科学者たちもこの点を調べています。たとえば1992年の長崎大学の研究では、LANDSAT-5の熱赤外データを用いて、日出沿岸の海底湧水が調査されました。その論文は、町のカレイの生息環境をこの地下水と関連するものとして扱っています。

知っておきたいこと

湧水が実在し、調査されてきたことは事実です。ただし、湧き水だけがこの魚の味をつくっていることを示した研究はありません。その結びつきは、証明された事実というより、地元で強く信じられていることです。

城下かれいはどんな味?

城下かれいの味わい:ほのかな甘み、すっきりした香り、厚みのある身、小さな頭、幅広い尾びれ

地元では、ほのかな甘みとすっきりした香りが特徴として挙げられています。観光協会によると、刺身がこうした持ち味を最もよく表すそうです。他の地域のマコガレイと比べて、身が厚く、頭が小さいとも説明されています。さらに、尾びれは幅広く丸みを帯びているといわれます。

たしかに、白身魚で「甘い」というのは意外に聞こえるかもしれず、思い浮かべにくいこともあります。ここでいう甘みは、砂糖のような甘さではなく、控えめで自然な甘みのことです。地元では、煮たり揚げたりしても提供され、また違った一面が引き出されます。

とはいえ、これらは地域での評価であり、管理された味覚試験の結果ではありません。実際、マコガレイは一般に、強い泥臭さで知られている魚ではありません。それでも日出では、すっきりした味わいを、地元の魚が際立つ理由の一つとして示しています。

歴史と地元の伝承

江戸時代の殿様の魚から1937年の食の本までの城下かれいの年表

城下かれいは、古くから高級魚として扱われてきました。その位置づけは、歴史上の格、日出との強い結びつき、品質の評判、そして現在は入手が限られていることなど、いくつかの要素に支えられています。

将軍への献上と「殿様の魚」

日出町は、この魚がかつて江戸(現在の東京)の将軍に献上されるほど上等だったと述べています。観光協会によると、諸大名が江戸へ参勤する参勤交代の際に、干した魚が幕府に送られたそうです。

観光協会は、さらに二つの生き生きとした話も紹介しています。一つは、うるう年には初夏の端午の節句に間に合うよう、生きた魚が江戸へ運ばれたという話です。もう一つは、殿様魚、つまり「殿様の魚」という呼び名が、これを食べた庶民を罰したとされる決まりに由来するという話です。ただし、今回の調査では、これらの詳細について原本となる藩の記録は見つかりませんでした。そのため、地元の言い伝えとして受け止めるのが適切です。

1937年の食の本での評価

その評判は近代にも受け継がれました。観光協会によると、政治家であり美食家でもあった木下謙次郎が、1937年の美食に関する本でこの魚を称賛したそうです。日本の名物料理を選んだ中にも、この魚を入れたと伝えられています。

城下かれいの旬はいつ?

城下かれいの季節カレンダー:4月から9月、5月から7月上旬が最盛期

日出町観光協会は、旬をおおよそ4月から9月としています。その期間の中でも、5月から7月上旬に最もおいしいといわれます。そのため、訪れる計画を立てるなら、晩春から初夏が目安です。

この料理としての旬は、飲食店が味わいを目的としてこの魚を例年売り出す時期です。一方、大分県北部沖の周防灘で行われた大分県の水産研究では、この魚種の産卵は初冬に見られました。実際に食べられるかどうかは、店や日によって異なります。

城下かれいの食べ方

城下かれいの食べ方:刺身、唐揚げ、煮付け、肝酢

日出では、正式な会席料理から、より手軽なランチ膳まで、さまざまな形でこの魚が提供されます。地元の観光情報では、甘みを味わう方法として、とくに刺身が勧められています。定番の食べ方は次のとおりです。

  • 刺身:薄く切った生の切り身。地元では、最初に味わう方法として最も勧められています。詳しくは刺身のガイドをご覧ください。
  • 唐揚げ:衣をつけて油で揚げたもの。当サイトの唐揚げの記事で作り方を説明しています。
  • 煮付け:甘い醤油ベースの煮汁で煮たもの。身が柔らかい食感になります。

日本では、カレイの刺身は薄く切られることが多く、切り身はほとんど透き通って見えることもあります。また、1985年の日出のカレイ料理に関する研究には、伝統的なつけだれとして肝酢が紹介されています。これは、梅干し(日本の梅の漬け物)で風味をつけた醤油と、魚の肝を合わせたものです。現在の調理法は、店によって異なることがあります。

初めて訪れる場合は、まず刺身から始めましょう。そのうえで、店に定食があれば、唐揚げか煮付けを加えてみてください。二つの調理法を並べて味わうと、食感の違いが特によく分かります。生の魚介類全般に言えることですが、きちんとした店を選び、魚の提供方法についての店の案内に従ってください。

城下かれいを探すには

日出で城下かれいを探すためのチェックリスト:メニュー、予約、料理、価格

日出町は、町内の飲食店でこの魚を味わえると述べています。城跡、湧水のある海岸、飲食店が近くに集まっているため、現地で食べることは背景を知る助けにもなります。日出は別府に隣接しているので、温泉旅行にも組み込みやすい場所です。

飲食店の名前、メニュー、価格は年ごとに変わるため、このガイドでは特定の店は挙げていません。代わりに、日出町の公式観光サイトで最新の情報を確認し、そのうえで店に次の点を問い合わせてください。

  • 希望の日に城下かれいがメニューにあるかどうか
  • 予約が必要かどうか(とくにコース料理の場合)
  • 刺身のみか、定食かなど、どの料理が提供されているか
  • 現在の価格

この地域には、ほかにも大分の郷土料理が数多くあります。関サバ、とり天、そして別府の蒸し料理である地獄蒸しにも注目してください。

城下かれい祭り

日出城跡での城下かれい祭り:魚つかみ大会、カレイの稚魚の放流、ステージイベント、花火

日出では長年、城跡のまわりで祭りを開き、この魚を祝ってきました。大分県の公式観光サイトによると、第41回の祭りは2026年5月9日と10日に開催されました。

プログラムには、魚つかみ大会、カレイの稚魚を放流する体験、ステージイベント、初日の夜の花火が含まれていました。地元放送局のTOSは、この祭りがこの魚を守り、将来の世代に伝えることを目的としていると報じました。また、漁獲量の減少が続いていることも伝えました。さらに、特別価格で味わうイベントが2026年も開催されなかったことにも触れました。

今後の日程は、日出町または Tourism Oita の公式サイトで確認してください。

城下かれいは持続可能?

大分県のマコガレイの漁獲量は1995年の290トンから2020年の3.6トンに減少。アマモの保全と稚魚の放流

入手可能な証拠からは、これを持続可能な選択と自信をもって言うことはできません。はっきりしているのは、大分県のマコガレイの資源が急激に減少し、今も圧力にさらされているということです。

資源の現状

大分県の水産研究部門が2023年に公表した報告書は、漁獲データをまとめ、急な減少を示しています。以下の数値は日出だけでなく、県全体のものです。

大分県のマコガレイの漁獲量

年漁獲量
1995290トン
200681トン
20203.6トン

出典:大分県農林水産研究指導センター(2023年公表の報告書。示された最新の漁獲年は2020年)。数値は大分県のもので、主に大分県北部・北東部沖の周防灘と伊予灘のものです。

報告書は、原因を一つに絞らず、いくつかの圧力を挙げています。水温の上昇、貧酸素水塊、海底の生息環境の劣化などです。

日出町の取り組み

第一に、日出町は地元の漁業者と協力して、「海のゆりかご」と呼ぶアマモ場の保全と拡大に取り組んでいます。放流された稚魚はこうしたアマモ場で育つと、町は述べています。環境省の調査を引用して、瀬戸内海のアマモは30年間で約70%減少したとも町は伝えています。

第二に、町は稚魚を大きなサイズまで育ててから放流しています。この方法は生き残る割合を高めることを目的としています。2023年2月の2回の放流では、合計約6,300匹の稚魚を放流しました。とはいえ、放流は全体像の一部にすぎません。生息環境の質、水温、酸素濃度、漁業管理のすべてが、長期的な回復に影響します。

訪れる人にできること

何よりもまず、訪れる人は入手が限られていることを尊重し、メニューにないときに店へ無理を言わないことができます。祭りの放流イベントは、地元の漁業や生息環境の取り組みについて学ぶ良い機会です。ただし、回復は一つのイベントではなく、長期的な保全にかかっています。

城下かれいを探す価値がある理由

城下かれい

城下かれいは、土地の個性をまとったマコガレイです。結局のところ、その名前は城と、その海は海底の湧水と、その評判は地元の誇りと結びついています。

見つけるのは必ずしも簡単ではなく、その希少さが今ではこの魚の物語の一部になっています。晩春から初夏に日出を訪れるなら、ぜひ尋ねてみて、まず刺身を試してみてください。その後は、九州の食もさらに探してみてください。

この記事の情報は2026年10月に最終確認しました。

城下かれいに関するよくある質問

魚について

城下かれいは別の魚種ですか?

いいえ。日出とその沿岸漁業の文化に由来する、マコガレイ(Pseudopleuronectes yokohamae)の地域名です。この魚種自体は、日本のほかの場所にも生息しています。

城下かれいは英語で何と呼ばれますか?

この魚種は marbled flounder と呼ばれます。一部のデータベースでは “marbled sole” も挙げられていますが、ウシノシタ類ではなく、カレイ科に属します。

城下かれいはなぜ高級魚とされるのですか?

いくつかの要因が理由として挙げられます。将軍への献上品だったという歴史、日出との結びつき、地元での評判、そして現在は入手が限られていることなどです。つまり、希少さは理由の一部にすぎません。

城下かれいを食べる

城下かれいの旬はいつですか?

日出町観光協会は、旬をおおよそ4月から9月とし、味わいが最も良いのは5月から7月上旬としています。入手できるかどうかは時期によって異なるため、訪れる前に確認してください。

城下かれいはなぜ見つけにくいのですか?

漁獲量が急激に減っています。2023年の大分県の報告書によると、県の漁獲量は1995年の290トンから2020年の3.6トンに減少しました。個々の飲食店での提供状況も、日によって異なります。

予約は必要ですか?

とくにコース料理では、予約するのがおすすめです。この魚は常にあるとは限らないため、希望の日にメニューにあるかどうかを尋ねてください。

日出を訪れる

城下かれい祭りはありますか?

はい。日出では長年、城跡のまわりで祭りが開かれています。第41回は2026年5月9日と10日に行われました。今後の日程は公式観光サイトで確認してください。

別府から日出へ行けますか?

はい。日出町は別府湾で別府に隣接しているため、温泉旅行にも組み込みやすい場所です。それでも、行く前に店でこの魚が提供されているか確認してください。

参考文献

  • 日出町 – 日出町の水産物(2026年10月閲覧)
  • 日出町 – アマモ場の保全と拡大(2026年10月閲覧)
  • 日出町 – ヒラメ稚魚の放流(特集)(2026年10月閲覧)
  • Hiji Town Tourism Association – 日出の魅力:城下かれい(2026年10月閲覧)
  • 観光庁 – 多言語解説文データベース:日出城跡(2026年10月閲覧)
  • Tourism Oita – 第41回城下かれい祭り(2026年10月閲覧)
  • TOS (Television Oita System) – 城下かれい祭り開幕、マコガレイの放流も(2026年5月9日)(2026年10月閲覧)
  • GBIF – Pseudopleuronectes yokohamae (Günther, 1877) (Accessed October 2026)
  • 大分県 – Wada, S. (2023). Ecological Studies on Marbled Flounder Near the Southern Edge of Their Distribution. Research Report of the Oita Prefectural Agriculture, Forestry and Fisheries Research Center, No. 8(2026年10月閲覧)
  • J-STAGE – Yuto, Y., Goto, K., & Kusano, K. (1992). Survey of the Relationship between Shirosita Sole and Submarine Springs in Hiji-machi, Oita Prefecture Using Satellite Remote Sensing Data. Journal of the Japan Society of Photogrammetry and Remote Sensing, 31(1), 31–39(2026年10月閲覧)
  • J-STAGE – Abe, T. (1985). 大分県日出の城下カレイ料理. Chori Kagaku (Journal of Cookery Science), 18(3), 167–171(2026年10月閲覧)

メイン画像クレジット: Copyright © Hiji tourism association. All Rights Reserved.

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About the Writer

Ryo Iwaのアバター Ryo Iwa Founder and Editor, Food in Japan

Ryo Iwa は foodinjapan.org の運営者兼編集者です。日本で生まれ育ち、各地への取材や市場めぐり、そして外国語圏の読者にはほとんど届かない日本語の一次資料をもとに記事を書いています。醸造研究機関の刊行物や業界用語集がその中心です。一次資料までたどれない数値については、その旨を記事内に明記しています。

Google マップのローカルガイドとして10年以上活動し、クチコミ1,800件以上、写真41,000枚以上を投稿。閲覧回数は数億回にのぼります。それ以前は日本・米国・英国で20年間 IT コンサルタントとして働いていました。

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