Menu
言語

山口ういろう

Yamaguchi uiro, a soft steamed warabi-starch wagashi, cut with a wooden pick on a red lacquer plate

名古屋のういろうを思い浮かべる方には、山口のういろうは別のお菓子のように感じられるかもしれません。切りたてはゆるやかにしなり、わずかに震え、なめらかで弾力のある歯ざわりでほどけます。生地にあんが練り込まれているので、あんが中に入っているのではなく、やさしい甘さがどの一切れにも行き渡っています。

その大きな理由は、伝統的にワラビの根茎から取るわらび粉にありますが、作り手ごとの粉の配合や蒸し方も影響します。この記事では、山口ういろうがほかの地方のういろうとどう違うのか、保存のしかた、できたてを買うときに見るポイントを紹介します。

目次

山口ういろうとは?

山口ういろうの概要を表したイラスト:わらび粉、蒸し上げ、ぷるんとした食感、均一な甘さ

山口ういろう(山口市の蒸し和菓子)は、一般にあん、砂糖、わらび粉で作られます。名古屋のものとして知られる、米粉で作るずっしりしたういろうと違い、やわらかく、なめらかで、弾力があります。ただし、作り方は作り手によって異なり、小麦粉やほかのでんぷんを使う商品もあります。

山口ういろうのあらまし

日本語名
山口ういろう。「外郎」と書かれることも多い
産地
山口市と山口県内の周辺地域
種類
蒸し和菓子
主な原料
わらび粉(ワラビの根茎から取るでんぷん)
ほかの原料
あんと砂糖。作り手によって、小麦粉、ほかのでんぷん、抹茶、黒砂糖を使う
食感
やわらかく、弾力があってなめらか。地元では「おっとり」と表現される
日持ち
商品によって異なる。蒸したての生ういろうは数日ほどしかもちません
最も古い記録
1654年の長州藩の宴席の献立

ういろう・外郎という表記

実際の表記はひとつではありません。山口の店の看板やパッケージでは漢字の「外郎」がよく使われ、メニューにはひらがなで「ういろう」と書かれていることもあります。どの表記も、同じ蒸し菓子の仲間を指しています。

山口ういろうとほかの地方のういろうの違い

山口、名古屋、小田原、阿波のういろうを、原料のでんぷんと食感で比べたイラスト

ういろうは日本のいくつかの地域で作られていて、原料のでんぷんが違えば味わいも大きく変わります。山口県観光連盟は、その違いを簡潔に説明しています。名古屋や小田原のものは、おおむね米を主体にした生地と、ずっしりとした食べごたえに結びつけられています。これに対して山口は、わらび粉を使い、わらび餅のようなぷるんとした歯ざわりで知られています。

特徴山口名古屋小田原阿波(徳島)
主な材料わらび粉とあん。小麦粉を加える配合もある多くは米粉と砂糖おおむね米が主体上新粉、あん、砂糖。阿波和三盆を使うこともある
食感多くはやわらかく、なめらかで弾力がある多くはずっしりとして、もちもちしているおおむねずっしりとして、もちもちしている多くはもちのようで、噛みごたえがある
風味あんの均一な甘さ米のやさしい甘さ米のやさしい甘さあんの甘さ。阿波和三盆を使うものもある

山口県観光連盟と農林水産省の郷土料理の紹介をもとにしています。あくまで一般的な傾向であり、すべての商品に当てはまるわけではありません。

日本の「三大ういろう」はどうでしょうか。これは正式な指定ではなく、広まっている呼び名です。農林水産省の阿波ういろうの紹介では、阿波、名古屋、山口の三つを指して使われているため、小田原はここでは比較のために挙げているだけです。米粉を使うタイプについては、ういろうの総合ガイドをご覧ください。

なぜこんなにぷるんとしているのか?わらび粉の役割

山口ういろうの材料を表したイラスト:わらび粉、あん、砂糖、蒸し上げ

農林水産省によると、山口ういろう特有の弾力の中心にあるのはわらび粉ですが、仕上がりの食感は作り手の粉の配合や作り方にも左右されます。わらび粉は、伝統的にわらび餅にも使われていて、両者がよく比べられる理由のひとつになっています。ただし、市販のわらび餅の粉には、ほかのでんぷんが入っていることもあります。また、わらび餅と違って、ういろうはあんを生地に直接混ぜ込むので、ひと口ごとに甘さが行き渡ります。

山口はなぜわらび粉を選んだのか?

はっきりしたことは分かっていません。山口県観光連盟も、いくつかの説があるとしています。よく挙げられるのは、昔は米が貴重だったという説明です。山口では質のよいわらび粉が作られていたため、自然な代わりの材料になったというのです。分かりやすい話ですが、定説ではなく、あくまで一つの説として受け取ってください。

決まったレシピはありません

興味深いことに、農林水産省のページ一つを見ても、作り方は二通り紹介されています。作り方の説明では、小麦粉とわらび粉を混ぜてから、溶いたあんを加えるとされています。一方、家庭向けの簡単なレシピでは、わらび粉、砂糖、水、あんだけを使います。

農林水産省の簡単な家庭向けレシピ(4人分)

  • 20グラムわらび粉
  • 大さじ1砂糖
  • 大さじ4水
  • 60グラムなめらかなこしあん

農林水産省は、レシピは地域や家庭によって異なるとしています。家庭では、生地を電子レンジで蒸すこともできます。

そのため、箱入りのものを買うときは、表示を確認しましょう。たとえば、ある店のういろうはほとんどがわらび粉でできていても、別の店のものには小麦粉が混ぜてあることがあります。

山口ういろうはどんな味?

山口ういろうの味わいを表したイラスト:やわらかく、弾力があり、均一な甘さ

切りたては、ずっしりしておらず、やわらかい口当たりです。木の楊枝がすっと入り、噛むとほどよい抵抗があります。あんが均一で控えめな甘さを添え、あんを包んだ餅のようにあんだけが際立つことはありません。地元では、このやさしくなめらかな口当たりを「おっとり」という言葉で表します。ここでは、技術的な食感の分類というより、やわらかさと上品さを感じさせる言葉です。

もちろん、味は店によって違います。定番の小豆のほかに、農林水産省は抹茶、栗、ゆずを、見つかる種類として挙げています。白、黒砂糖、豆入りなどを出す作り手もありますが、取り扱いは作り手や季節によって異なります。食べ比べるなら、詰め合わせの箱がおすすめです。

歴史:1654年の宴席から現代の店まで

山口ういろうの歴史を表した年表のイラスト:室町時代の伝承、1654年の宴席から現在まで

山口ういろうは、伝統的に室町時代と結びつけられています。当時の山口は大内氏のもとで栄えていました。ただし、確認されている最も古い文献は1654年のものです。長州藩の宴席の献立に、正式な膳の合間に出す菓子としてういろうが載っています。

  1. 伝承室町時代から親しまれてきたといわれる。
  2. 1654年幕府の巡見使をもてなす藩の宴席で、ういろうが「間の菓子」として登場する。
  3. 江戸時代山口の Ōuchi Mihori にあった Fukuta-ya がういろうを作り、藩の庇護を受ける。
  4. 現在山口では、複数の菓子店がそれぞれの持ち味のういろうを作っている。

1654年の記録

山口県立文書館によると、この記録は毛利家の資料に含まれています。ういろうは「間の菓子」として、正式な食事の本膳と二の膳の間に出されました。同じ記録には、材料としてわらび粉も挙げられています。そのため、すでにわらびが使われていたのではないかという見方もあります。ただし文書館は、これを確実なものではなく、ありそうな解釈としています。

福田屋とその後を継いだ店

江戸時代、Ōuchi Mihori で Fukuta-ya という店がういろうを作り、藩に重んじられました。山口県観光連盟によると、その後、Fukuta-ya の製法を受け継ぐ店として知られるようになったのが御堀堂です。ほかの作り手はそれぞれ独自の道を歩みました。1917年創業の本多屋と、豆入りの蒸し菓子で知られる豆子郎は、どちらも独自の持ち味を築いています。

お茶うけから給食まで

山口ういろうは、単なるお土産ではありません。農林水産省によると、日常のお茶うけとして出されるほか、結婚式を含めた贈り物にもされます。また、子どもたちが地元の食文化に触れられる一品として、給食に出ることもあります。

生と日持ちするタイプ:旅行者の選び方

生ういろう、密封パック、常温での保存を表したイラスト

山口ういろうには、生のタイプと、日持ちするタイプがあります。生ういろうはしっかり蒸し上げたものですが、日持ちは数日ほどなので、旅行中に食べるのがおすすめです。密封された商品は、一般に持ち運びに向いていますが、賞味期限や保存の決まりは作り手によって異なります。

生ういろうしっかり蒸してすぐに包んだもので、「生」は新鮮という意味であり、生のままという意味ではありません。山口県観光連盟によると日持ちは2〜3日ほどで、定義は作り手によって異なるとされています。向いている使い方:旅行中に食べる
密封パック長持ちするように詰められているので持ち運びやすく、オンラインで注文できるものもあります。賞味期限は作り手によって異なります。向いている使い方:お土産や贈り物

冷蔵庫に入れたほうがよい?

生ういろうの場合は、たいてい入れないほうがよいでしょう。農林水産省は、冷蔵庫で急に冷やすと固くなると注意しています。山口県観光連盟も、生ういろうは常温を勧めています。ただし、商品によって異なるため、必ずパッケージの保存方法の表示に従ってください。固くなってしまったときは、温めるともちもちのやわらかさが戻ると山口県観光連盟は紹介しています。とはいえ、温め方はパッケージや量によって異なるので、商品の説明に従ってください。開封後は、早めに食べましょう。

旅行者は山口ういろうをどこで買える?

訪ねたいういろうの作り手を表したイラスト:御堀堂、本多屋、田原屋、豆子郎

できたてのういろうを探すなら、山口市がいちばん確実です。老舗の店がいくつもあるからです。ただし、扱いは商品ごとに異なるので、店の営業時間だけでなく、目当ての商品について確認しましょう。

本多屋の新山口店とオンライン注文

2026年9月24日の時点で、本多屋は本店と新山口店で、生ういろうの電話予約を受け付けていました。同日には、生ういろうのオンライン販売も再開しています。どの作り手でもオンラインで注文する前に、次の点を確認してください。

  • 生か、日持ちするタイプか
  • 配送エリアとお届け予定日
  • 保存方法と消費期限

この記事のために確認した作り手について、海外への直接配送は確認できませんでした。

知っておきたい店

山口県観光連盟と山口市が紹介している作り手です。

伝統的なういろうの作り手

御堀堂Fukuta-ya の製法を受け継ぐ。白、黒砂糖、抹茶のういろうのほか、蒸したての生ういろうも扱う。
本多屋1917年創業。本店でういろう作り体験を行っており、3日前までに予約が必要。
田原屋繁忙期を除く平日に、試食つきの工場見学(無料)を実施。15日前までに申し込みが必要。

山口の関連する蒸し菓子

豆子郎他店のより一般的なういろうとは異なる、豆入りの独自の蒸し菓子を作る。生タイプの「suzushi」と、日持ちする密封タイプの「renji」があり、本店には茶房もある。

店の情報、営業時間、予約のルールは変わることがあるので、行く前に各店の公式ページを確認してください。県内では、山口の日本酒や、季節が合えばふぐの料理も味わってみるとよいでしょう。

山口ういろうの楽しみ方

山口ういろうの楽しみ方を表したイラスト:適した温度、小さく切る、緑茶、詰め合わせ

パッケージに書かれた温度でいただきます。生ういろうでは常温であることが多いです。小さく切り分け、砂糖の入っていない緑茶と合わせると、お茶の渋みがあんの甘さとほどよく釣り合います。やわらかくて弾力があるので、ひと口を小さくして食べましょう。詰め合わせなら、小豆、抹茶、季節の味を並べて食べ比べられます。あんを使ったほかの和菓子、たとえば羊羹がお好きなら、ういろうはより軽く、やわらかく感じられるでしょう。日本の和菓子をもっと幅広く知りたい方は、和菓子のガイドもご覧ください。

まとめ:できたてで味わいたい甘味

山口ういろうは、でんぷんが違うだけで、おなじみの菓子がやわらかく、なめらかで、さりげなく上品なものに変わることを教えてくれます。山口を訪れたら、数日以内に食べきれる生ういろうを試してみてください。そして保存方法は、作り手の指示が最優先なので、表示を確認しましょう。地元の人が「おっとり」と呼ぶ理由が、いちばんよく分かるはずです。

調査メモ:店の情報、商品の種類、日持ちは2026年10月に確認しました。作り手によって異なり、変わることがあります。

山口ういろうについてのよくある質問

お菓子について

山口ういろうは何でできていますか?

主な原料はわらび粉で、あんと砂糖を合わせます。作り手によっては、小麦粉、ほかのでんぷん、抹茶、黒砂糖が入ることもあるので、表示を確認してください。

山口ういろうは名古屋のういろうとどう違いますか?

名古屋のういろうは、多くが米粉で作られていて、ずっしりともちもちしています。山口ういろうはわらび粉を使うので、よりやわらかく、弾力があり、なめらかです。

山口ういろうの歴史はどれくらい古いのですか?

伝承では室町時代と結びつけられています。ただし、これまでに確認されている最も古い文献は、長州藩の1654年の宴席の献立です。

わらび粉とわらび餅粉は同じものですか?

必ずしも同じではありません。伝統的なわらび粉はワラビの根茎から取りますが、市販のわらび餅粉にはほかのでんぷんが混ざっていることがあります。

山口ういろうは羊羹と同じですか?

いいえ。山口ういろうは、でんぷんで作る蒸し菓子です。羊羹は、一般にあんを寒天で固めたものです。ういろうのほうが、たいていやわらかく、弾力があります。

山口ういろうはグルテンフリーですか?

必ずしもそうではありません。小麦粉を使うレシピもあるので、アレルギー表示を確認するか、作り手に問い合わせてください。

「生ういろう」は生のままという意味ですか?

いいえ。生ういろうはしっかり蒸し上げてあります。「生」は、できたてで日持ちが短いという売り方を指します。正確な定義は作り手によって異なります。

山口ういろうはヴィーガン対応ですか?

プレーンなものの多くは、植物由来の原料を使っているようですが、レシピは作り手や季節によって異なります。最新の原材料表示を確認し、厳密なヴィーガン対応が必要な場合は作り手に問い合わせてください。

購入と保存

山口ういろうは冷蔵庫に入れたほうがよいですか?

たいてい入れないほうがよいでしょう。急に冷やすと固くなることがあり、生のタイプは一般に常温で保存します。必ずパッケージの保存方法の表示に従ってください。

山口ういろうはどれくらい日持ちしますか?

商品によって異なります。蒸したての生ういろうは2〜3日ほどですが、密封パックはもっと長持ちします。

山口県外でも山口ういろうを買えますか?

密封タイプは、山口の作り手がオンラインで販売していることが多いです。生ういろうは山口県内がいちばん確実ですが、国内向けに限定的に発送する作り手もときどきあります。

参考資料

8件の参考資料をすべて表示
  • 農林水産省 – Our Regional Cuisines: Uiro, Yamaguchi Prefecture (2026年10月閲覧)
  • 農林水産省 – Uiro (Sweet Steamed Cake), Our Regional Cuisines, English Edition (2026年10月閲覧)
  • 農林水産省 – Our Regional Cuisines: Awa Uiro, Tokushima Prefecture (2026年10月閲覧)
  • 山口県立文書館 – Urban Prosperity and Genroku Culture: Uiro, a Local Confection (2026年10月閲覧)
  • 山口県観光連盟 – What Is Yamaguchi Uiro? Differences from Nagoya and Odawara, and Recommended Shops (2026年10月閲覧)
  • 山口市観光コンベンション協会 – Uiro Factory Tour and Tasting at Taharaya (2026年10月閲覧)
  • 本多屋 – Official Website (2026年10月閲覧)
  • 本多屋 – Notice: Resumption of Fresh Uiro Delivery (2026) (2026年10月閲覧)

関連記事

Food in Japan
Discover Japan,
One Dish at a Time
Explore authentic Japanese cuisine, regional specialties, traditional recipes, and food culture from all 47 prefectures.
Explore with Food in Japan
✓ Authentic Recipes
✓ Regional Specialties
✓ Food Culture
✓ Fresh Stories Daily
Follow Food in Japan
Google Preferred Sources
Prefer Food in Japan in Google Search
Add Food in Japan as one of your preferred sources and discover authentic Japanese food stories whenever they are relevant.
Google Preferred Sources
Please share this post!
  • URLをコピーしました!

About the Writer

Ryo Iwaのアバター Ryo Iwa Founder and Editor, Food in Japan

Ryo Iwa は foodinjapan.org の運営者兼編集者です。日本で生まれ育ち、各地への取材や市場めぐり、そして外国語圏の読者にはほとんど届かない日本語の一次資料をもとに記事を書いています。醸造研究機関の刊行物や業界用語集がその中心です。一次資料までたどれない数値については、その旨を記事内に明記しています。

Google マップのローカルガイドとして10年以上活動し、クチコミ1,850件以上、写真42,000枚以上を投稿。閲覧回数は数億回にのぼります。それ以前は日本・米国・英国で20年間 IT コンサルタントとして働いていました。

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください。

目次