究極の九州グルメガイド:絶対に食べるべきご当地料理10選

The Ultimate Kyushu Food Guide 10 Local Dishes You Must Eat

九州地方とその食文化について

九州は、日本列島の南西端に位置し、温暖な気候に恵まれた地域です。福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島の7県からなり、日本の食文化の中でも特別な位置づけを持っています。

九州は古くから朝鮮半島や中国、東南アジアとの交易の窓口でした。とりわけ長崎は、江戸時代の鎖国政策のもとで唯一海外との交流が許された場所です。そこで外国の食文化が流入し、独自の発展を遂げました。南部は温暖で雨が多く、香辛料を効かせた料理や酸味の強い料理が発達しました。

そして九州といえば、畜産業が盛んな地域でもあります。鹿児島の黒豚、宮崎の地鶏、熊本のあか牛など、全国的に有名なブランド肉を誇ります。海に囲まれた地形も九州の食文化を豊かにしており、玄界灘・有明海・太平洋など異なる海から、多種多様な海の幸がもたらされています。

1. 水炊き(鶏の鍋料理) – 福岡県

mizutaki
水炊き

はじめて博多の水炊きを口にしたとき、まずそのスープの白さに驚くはずです。これは鶏ガラをじっくり煮込み、コラーゲンが溶け出している証です。

水炊きは、鶏肉とたっぷりの野菜を水から煮込む、福岡を代表する鍋料理です。スープは白濁してコクがあり、口いっぱいにコラーゲンの甘みが広がります。鶏肉は驚くほどやわらかく、ほろりと崩れる食感。出汁を使わず、水と塩だけで素材のうま味を引き出すという、素材への自信が感じられる調理法です。

素材の持ち味を最大限に活かす、博多の食文化から生まれた究極の技法ともいえます。そして忘れてはならないのが、締めの雑炊。野菜の甘みと鶏のうま味が溶け込んだスープでごはんを煮込む――この雑炊を目当てに訪れる人もいるほどです。

博多市内には、創業100年を超える老舗の水炊き専門店が数多くあります。

2. 呼子イカ – 佐賀県

yobuko squid
呼子イカ

透き通るような透明感。生きたイカの刺身は、想像以上に美しいものです。

呼子は佐賀県北部、玄界灘に面した港町です。ここで水揚げされるヤリイカは、新鮮さと甘みが群を抜いています。「活き造り」は、料理人が生きている呼子イカをその場でさばき、すぐに提供する調理法で、透明な身はしっかりとしたコリコリの歯ごたえがあります。噛めば噛むほど甘みが広がり、後味は実にさっぱりとしています。

足がまだ動いていることもあるほどの鮮度は、産地ならではの贅沢。刺身で味わったあとの残りの部分を天ぷらなどにしてくれる店も多く、1杯で二度楽しめます。時間が経つと身は白く濁り、食感も変わってしまうため、呼子で食べることにこそ大きな意味があります。

朝から新鮮な海産物が並ぶ、呼子の朝市も有名です。イカを味わったあと、市場をぶらりと散策するのも楽しいでしょう。

3. 卓袱(しっぽく)料理 – 長崎県

Delicious Japanese seafood platter featuring sashimi, roe, and vegetables in a refined restaurant setting.
伝統的な器に盛り付けられた、新鮮な魚介や魚卵、彩り野菜による優雅な九州の刺身盛り合わせ。

大きな円卓を囲み、料理を取り分けながらみんなで食べる。中華料理でも和食でもない、長崎独自の食文化です。

卓袱料理は、江戸時代の長崎で生まれた、和・中・蘭の要素が混ざり合った宴会料理です。豚の角煮はとろけるように柔らかく、甘辛い醤油だれがしっかりと染み込んでいます。エビ料理はプリッとした食感で、中国風のとろみあんが絡み、濃厚な味わいに。ひと皿の中に甘味・辛味・酸味など、さまざまな味が盛り込まれているのが特徴です。

鎖国期に唯一開かれていた出島から、外国文化が流入し、日本の食材や調理法と出会って生まれた料理です。円卓を囲むスタイルは中国文化の影響ですが、料理の中には和風の品も多く、不思議な調和を見せています。

長崎市内の老舗料亭などで提供されていますが、高級料理であるため、事前予約が必要なことが多いです。

4. とり天 – 大分県

Toriten (とり天)
おろし大根と青菜の天ぷらを添えた、サクサクのとり天が盛られた和風の器。

とり天は、大分県発祥の郷土料理で、鶏肉に天ぷら衣をつけて揚げたものです。唐揚げとは異なり、軽くふんわりとした衣の食感が特徴です。衣は薄く軽やかで、サクッとした小気味よい歯ざわり。中の鶏肉はジューシーで、ひと口かじると肉汁があふれます。ポン酢や柚子胡椒を合わせると、柑橘の酸味とほのかな辛味が加わり、後味はさっぱりとします。

大分は温泉地として有名ですが、鶏肉の消費量も多い県です。新鮮な鶏肉を天ぷらの技法で揚げ、特産のカボスを使ったポン酢と合わせる――まさに土地柄が見事に融合した一品です。脂っこさが少ないので、何個でも食べられてしまいます。

温泉でひと風呂浴びたあと、冷たいビールと一緒にとり天を楽しむのが“大分流”です。

5. 辛子れんこん – 熊本県

karashi-renkon

鮮やかな黄色の断面が美しい辛子れんこんは、熊本城の城下町で生まれ、大名への献上品としての歴史を持つ料理です。

辛子味噌をレンコンの穴に詰め、衣をつけて揚げた料理です。一口かじると、外側の衣はカリッと香ばしく、レンコンはシャキシャキとした歯ごたえ、そこへツンと鼻に抜ける辛子味噌の刺激がやってきます。味噌のコクのある甘じょっぱさと辛子のピリッとした辛みが絶妙で、噛めば噛むほど味わいが増していきます。
輪切りにすると、黄色い辛子味噌が花のような模様を描き、細川家の家紋に似ていたことから、家庭ごとに門外不出の料理として受け継がれてきたともいわれます。レンコンは穴が空いていることから「先を見通せる」縁起物とされており、お酒のおつまみにもぴったりです。

熊本市内の専門店で、揚げたてをぜひ味わってみてください。

6. 冷や汁 – 宮崎県

Hiyajiru (冷や汁)
きゅうりとにんじんのさっぱりとしたサラダを伝統的な和の器に盛りつけた一皿。軽くてヘルシーな日本食にぴったりです。

暑くて食欲がない夏の日。それでも栄養はしっかりとりたい。そんなときに宮崎の人が食べるのが冷や汁です。

焼いてほぐした魚を味噌とごまと一緒にすりつぶし、冷たいだしでのばして、豆腐や野菜とともにご飯にかけていただきます。ひんやりとしたなめらかな口当たりで、暑い日でもスルスルと喉を通ります。焼き味噌の香ばしい香りとごまの風味、魚のうま味が合わさり、複雑でありながらもさっぱりとした味わいです。きゅうりのポリポリとした食感と、豆腐のなめらかさが良いアクセントになります。

素朴ながら栄養バランスがとれた一品であることが、この料理の魅力です。あじやさんまなどの青魚を焼いてほぐし、そこに焼き味噌とごまを加えてコクを出します。手間ひまをかけたこの作り方が、味わいの深さを生み出しています。
宮崎の食堂や定食屋では、夏の定番メニューとして提供されています。

7. 地鶏炭火焼き – 宮崎県

miyazaki jitokko
miyazaki jitokko

炭火の炎の上でジュージューと焼ける地鶏。その香ばしい匂いだけで、もうビールが欲しくなります。

地鶏に塩とこしょうだけでシンプルに味をつけ、強い炭火で一気に焼き上げます。外側はカリッと香ばしく、皮はパリパリ。内側はジューシーで、かむと肉汁があふれ出します。噛めば噛むほどうま味が口いっぱいに広がり、炭火ならではの燻した香りがふわっと鼻に抜けていきます。身はしっかりとした弾力があり、噛みごたえがありながら硬すぎない絶妙な食感です。

宮崎は畜産が盛んで、とくに地鶏の飼育に力を入れています。広々とした土地でのびのびと育った地鶏本来のおいしさを、いちばんシンプルな形で味わえる料理です。

宮崎市内の居酒屋では、ほとんどのお店でメニューに載っています。焼酎の本場・宮崎だけに、地元の焼酎との相性も抜群です。

8. 鶏飯(けいはん) – 鹿児島県

keihan

写真協力:公益社団法人 鹿児島県観光連盟

「鶏飯」と書いて「けいはん」と読みます。見た目以上に奥深い味わいをもつ、奄美大島発祥の郷土料理です。

温かいご飯の上に、ほぐした鶏肉、錦糸卵、しいたけ、漬けパパイヤ、たんかん(柑橘)の皮などの具材をのせ、上からたっぷりと鶏ガラスープをかけて食べます。スープは澄んでいながらコクがあり、鶏のうま味がぎゅっと詰まっています。するすると喉を通りつつも、あとには深い味わいが余韻として残ります。具材それぞれが、やわらかい・ふんわり・こりこり・シャキシャキと異なる食感を持ち、それらが一体となって楽しめます。

もともとは薩摩藩の役人をもてなすために考案された料理で、おもてなしと実用性を兼ね備えています。ご飯に好みの具材を好きなだけのせ、上からスープをかけていただくスタイルで、この自由さも楽しみのひとつです。

本場の奄美大島はもちろん、鹿児島市内にも鶏飯を提供する店があります。

9. さつま揚げ – 鹿児島県

satsuma age
satsuma age

全国で「さつま揚げ」として売られていますが、本場・鹿児島のものはやはりひと味違います。

魚のすり身に塩と砂糖で味をつけ、成形して油で揚げた練り物です。外側はきつね色で、サクッとした歯ざわり。内側はふんわりと弾力があり、魚のうま味が凝縮されています。噛むほどに魚の甘みと香りがじんわりと広がり、後味はすっきりとしています。

魚種や具材のバリエーションが豊富なことも魅力です。エソやトビウオ、イワシなど、使う魚によって風味が変わります。ごぼう、にんじん、イカ、タコ、紅しょうがなど、さまざまな具材を混ぜ込んだものもあり、お店によっては何十種類ものさつま揚げを作っています。

鹿児島市内には多くの専門店があり、店頭で揚げたてを販売しています。生姜醤油を少したらすと、さらに風味が引き立ちます。

10. ゴーヤチャンプルー – 沖縄県

Goya Chanpuru (チャンプルー)
鶏肉といんげんにかつお節をあしらった、できたての和風炒め物。日本の家庭料理らしさを感じられる一皿です。

沖縄料理といえば代表的な一品として思い浮かぶのがゴーヤチャンプルーです。独特の苦みをもつゴーヤを、豆腐や豚肉と一緒に炒めた家庭料理です。薄切りにしたゴーヤ、島豆腐、豚肉、卵を一緒に炒めて作ります。ゴーヤはしっかりとした苦みがありますが、シャキッとした歯ごたえが心地よい食材です。島豆腐は一般的な木綿豆腐よりも固く、炒めても崩れにくいしっかりとした食感が特徴です。豚肉のうま味と脂が全体をまろやかにまとめ、卵がふんわりと包み込んで優しい味わいに仕上げます。

沖縄の食文化と健康の秘訣が詰まった料理です。ゴーヤはビタミンCが豊富で、夏バテ防止に効果的。豚肉と豆腐は良質なたんぱく質源で、栄養バランスの非常に優れた一品です。豚肉の脂と豆腐のまろやかさが、ゴーヤの苦みをやわらげてくれます。

沖縄の家庭では日常的に作られており、食堂でも定食の人気の副菜として提供されています。

おわりに

九州の郷土料理をどのように感じましたか。海外との交流から生まれた個性的な料理、温暖な気候に育まれた新鮮な食材、畜産業の発展がもたらしたブランド肉。九州の食文化は、まさに多様で奥深い世界です。

各県それぞれが、独自の歴史や風土の中で料理を育んできました。どれも地元の人々の暮らしに根ざした、温かみのある味ばかりです。九州を訪れる機会があれば、ぜひ各地の郷土料理を味わってみてください。できれば、地元の人たちが通う食堂や居酒屋で。観光地とは違う、「本当の九州」の姿に出会えるはずです。

また、九州は温泉も豊富です。おいしい料理と温泉を楽しむ旅は、きっと忘れられない思い出になるでしょう。

参考文献

九州観光紀行

The Ultimate Kyushu Food Guide 10 Local Dishes You Must Eat

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

Please share this post!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください