夏が近づくと、多くの人が夏バテ防止のために食事に気を遣うようになります。そんな方にぴったりなのがうなぎです。うなぎは高たんぱくで、ミネラルやビタミンも豊富なため、消化にも良い食材です。日本では昔から、夏バテ防止にうなぎを食べる習慣があります。代表的なうなぎ料理といえば「うな重」と「うな丼」です。では、この2つの料理の違いを説明できますか?この記事では、「うな重」とは何かを紹介するとともに、「うな重」と「うな丼」の違いについても解説します。
うな重とは?

うな重は主にうなぎを使った料理で、静岡県の人気料理です。県内にある浜名湖は、うなぎ養殖発祥の地として知られています。日本で初めてうなぎ養殖に成功した湖であり、100年以上続く老舗のうなぎ専門店の多くが浜松市に店を構えています。うな重は、甘くて香ばしいタレが特徴の関西風と、同じく人気の高い関東風の両方を楽しむことができます。関東風は、身が硬くなってしまわないよう、その日のうちに購入して焼き上げるのが一番おいしく食べるコツです。
甘辛いタレとうなぎの濃厚な旨味
味わいは、甘みと香ばしさが合わさった深い旨味が特徴です。うなぎ自体はとても濃厚で、ほかの魚とは違う、バターのようなコクのある風味があります。いやな魚臭さではなく、どちらかといえば土っぽい力強い味わいです。甘い醤油ベースのタレが重なり、うなぎの旨味と甘みを一層引き立てます。初めて食べたときは、その味の複雑さに驚くかもしれません。焼いている間にタレが軽くカラメル化し、甘じょっぱい風味が生まれて口の中に長く残ります。下のご飯には、うなぎとタレの旨味が染み込み、とても風味豊かになります。甘すぎないか気になる方もいるかもしれませんが、良い店ではそのバランスが絶妙に取れています。
ふっくらした身と香ばしい皮
食感こそ、よくできたうな重を特別なものにしているポイントです。うなぎの身はふっくら柔らかく、口の中でとろけるようでありながら、皮は焼きによって心地よい香ばしさとパリッとした食感が出ます。ここには微妙な火加減のバランスがあります。火を通しすぎると身が固くなり、噛みごたえが強くなってしまうため、新鮮さが非常に重要です。完璧に柔らかく仕上がったうなぎと、やや焼き過ぎのうなぎでは、その違いははっきりと分かります。ご飯はややもちっとした柔らかさで、うなぎの食感との対比も楽しめます。
香ばしく甘い香りが立ちのぼる
香りは、思わず引き寄せられるような魅力があります。うな重を調理していると、焼けたうなぎとタレが焦げる香りが店内に広がります。炭火のスモーキーさや軽い焦げ感に、甘い醤油とみりんの匂いが混ざり合います。温かくて食欲をそそる、ほとんど抗いがたい香りです。うなぎ自体にも独特の香りがあり、好き嫌いが分かれるところですが、甘いタレと炭火の香りが合わさることで、奥行きのある複雑な香りが生まれます。
うな重とうな丼の違いとは?

この2つの違いはごくわずかです。うな丼は丼に盛られ、うな重は重箱に盛られます。丼と重箱の違いとして現れるのは、基本的にはうなぎの量だけです。平均すると、うな丼に比べて、うな重の方がうなぎの量はおよそ1.5倍になります。質そのものに違いはなく、どちらにも並と特上といったサイズがあります。うな丼が生まれたのは日本の江戸時代末期で、うな重が登場するのは明治時代になってからです。温かい状態で料理を客に届けるために、重箱が使われるようになりました。同じ量のうなぎをご飯とともに重箱に入れると、少しさびしく見えてしまうため、重箱版ではうなぎの量を増やした大盛りのスタイルが広まったのです。
うなぎの歴史
縄文時代にさかのぼる起源
うなぎは何千年もの間、日本料理において大切にされてきました。縄文時代(約1万年〜紀元前300年)に築かれた貝塚の発掘調査では、5000年以上前のうなぎの骨が発見されており、先史時代の日本人がすでにうなぎを貴重な食糧としていたことが分かっています。古代の和歌にもその姿が見られ、有名な歌では、大伴家持が吉田連老にうなぎを食べるよう勧め、その豊かな味わいと滋養強壮の効果を誉め称えています。
平安貴族と初期の記録
平安時代(794〜1185年)になると、貴族階級の味覚は洗練され、塩をふって蒸した白焼きのうなぎの上品な味わいが好まれるようになりました。「うなぎ」という言葉は、12世紀にはすでに文献に記録されており、特に夏の暑い時期に、スタミナや健康と結びつけて語られるようになりました。
中世の記録と蒲焼の登場
1399年(応永6年)の『鈴鹿家記』には、うなぎに関する最も古い文献記録の一つが見られます。この頃には「蒲焼」という言葉が使われ始めました。一説には、丸のまま串に刺して焼いたうなぎの姿が、ヒキガエルの耳(ガマ)に似ていたことから名づけられたともいわれます。別の説では、焼いたうなぎの香りから名が生まれ、「かばん」「かばや」を経て「蒲焼」へと変化したとされています。
室町時代の工夫
室町時代(1333〜1573年)には、うなぎは塩・酢・味噌を合わせただけのシンプルな食べ方が一般的でした。この時代の終わり頃には、「うじまる」と呼ばれる料理が考案されます。これは、ぶつ切りにしたうなぎを、醤油や酒、唐辛子入りの味噌で味つけして焼いたもので、今日親しまれている甘辛い味つけの先駆けとなりました。
江戸時代と現在の蒲焼スタイルの確立
江戸時代、とくに天明年間(1781〜1789年)には、現在の蒲焼の形が整えられていきました。うなぎを開いて串を打ち、炭火で焼きながら、甘い醤油ベースのタレを何度もつけて焼き上げるという方法です。関西地方から伝わった濃厚な醤油の登場も相まって、現在でも親しまれている、つややかで香り高い蒲焼のスタイルが完成しました。19世紀半ばには江戸(現在の東京)にうなぎ店が数多くでき、「夏の盛りにうなぎを食べると夏バテしない」と盛んに宣伝したことで、「土用の丑の日」にうなぎを食べる習慣が広く根づいていきました。
今も受け継がれる食文化の宝
先史時代の焚き火から、江戸の洗練された料理まで、うなぎの歩みは、日本人が川や海の恵みを、深い文化的意味をもつ料理へと昇華させてきた歴史そのものだといえるでしょう。
さまざまなうなぎの調理法

関東風では、うなぎは背開きにします。身に串を打ち、そのまま焼くか、いったん蒸してからタレをつけて焼き上げます。
関西風では、腹開きにして串を打ち、タレを塗る前に素焼きにし、仕上げにタレをつけて焼き上げます。この方法では蒸しの工程を行わないため、「地焼き」とも呼ばれます。
鰻を正しく調理しておいしい料理に仕上げることは、難しい技だとされています。日本には「串打ち3年、裂き8年、焼き一生」ということわざがあり、鰻料理の奥深さを表しています。
使用する鰻(うなぎ)について
日本では、うなぎの蒲焼をご飯の上にのせて提供することがよくあります。ご飯の上にのる焼き鰻そのものを「鰻の蒲焼」と呼びます。四角い漆塗りの重箱「重箱(じゅうばこ)」に盛り付けたものは「うな重(うなぎ+重箱)」と呼ばれます。一方で、うな重は一般的にうな丼よりも格上で値段も高く、使用する鰻の量も多いのが特徴です。
うな重の重箱の由来
うな重に使われる丼や重箱の起源には、いくつかの説があります。ひとつの説では、明治18年(1868〜1912年)頃、鰻好きであった劇場主の大久保今助が、温かいまま鰻を届けてもらうために、米ぬかに包んで運ぶよう頼んだとされています。この方法により、配達の間に料理が冷めるのを防げたのです。
浜松でうな重を提供する店

浜松には、うな重のおすすめ店が数多くあります。
うなぎ料理 あつみ
うなぎ料理あつみは、浜名湖産のうなぎをはじめとする国産の高品質な食材にこだわる専門店です。ここでは高い食品安全基準のもと、多くの客がうなぎ本来の味を楽しんでいます。創業は1890年で、100年以上受け継がれてきた秘伝のタレで焼き上げる蒲焼のうな重が名物です。ひと口目から香り高く、風味豊かなタレのおいしさを堪能できます。JR東海道線・浜松駅から徒歩約10分という立地にあり、豊富なメニューの中から好みの料理を選べます。
うなぎ ひくまの
うなぎ料理店ひくまのでは、浜名湖産のうなぎだけを使ったオリジナル料理を提供しています。ふっくらとした身と皮を生かしたうなぎ料理全般を得意とし、塩ゆでした肝をわさび醤油でいただく「肝刺し」なども名物です。浜松駅から徒歩5分ほどの場所にある、昔ながらのうなぎ専門店です。こちらでは、すべてのうなぎを柔らかくふわふわになるまで蒸し上げ、必要に応じてあっさりとしたタレを添えて提供します。バラエティ豊かなメニューに加え、静岡県産の地酒やワインも揃っています。
炭焼うなぎ あおいや
かつて「炭焼うなぎ かんたろう」の名で知られていたうなぎ専門店で、特に身の厚い、厳選された高品質のうなぎを扱っています。通常、わさび醤油と少量の塩で焼き上げて提供します。この店の魅力のひとつは、水槽で泳いでいる中から、自分が食べたいうなぎを選べることです。蒲焼にしたうなぎは、なめらかな口当たりのために備長炭で丁寧に焼き上げられます。その結果、外は香ばしくカリッと、中はふっくらとしたおいしい鰻に仕上がります。ここでは、農薬使用量の少なさで知られる「あきたこまち」を厳選して使用しています。
うなぎ処 かねりん
この店は、備長炭で丁寧に焼き上げた絶品のうなぎと、代々受け継がれてきたタレを使う「特上うな重」で知られています。創業約70年の老舗ならではの、コク深い味わいのうなぎを提供しています。落ち着いた雰囲気の店内だけでなく、天候に応じて美しい景色に囲まれた中庭の席も楽しむことができます。
うなぎ処 しみず家
しみず家では、その日の朝に仕入れた新鮮なうなぎを焼き上げます。うな重には肝吸いが付いてきます。毎朝、その日に提供する分だけのうなぎを仕入れ、すべてを注文ごとに、温度管理の行き届いた炭火で丁寧に焼き上げます。三代続く職人の味は、変わらぬおいしさとして多くの客に親しまれています。持ち帰りを希望する場合には、うなぎ弁当の用意もあります。
うな重(うなぎ重箱)FAQ
うな重とは?
長方形の漆塗りの重箱に、タレをつけて焼いたうなぎ(うなぎの蒲焼)を、温かいご飯の上にのせた料理です。
うな丼とはどう違うのですか?
器が異なります。うな重は「重箱」と呼ばれる豪華な箱に盛られ、一般的に丼(うな丼)よりも量が多めです。
なぜ高いのですか?
稚魚(シラスウナギ)の漁獲が難しく、育てるのにも多くの手間と費用がかかるため、価格が高くなります。
タレはどんなものですか?
うなぎに塗る「タレ」は、しょうゆ・みりん・砂糖などから作られる、コクがあり甘辛い味わいのソースです。
関東風と関西風の違いはありますか?
はい。関東では、うなぎをふっくら仕上げるために一度蒸してから焼きます。関西では、蒸さずにそのまま焼き上げ、香ばしくパリッとした食感に仕上げます。
緑色の薬味は何ですか?
「山椒」です。爽やかな香りとピリッとした辛味があり、振りかけることで脂っぽさを和らげてくれます。
いつ食べることが多いですか?
夏によく食べられ、とくに暑さに負けないよう体力をつける目的で「土用の丑の日」に食べる習慣があります。
骨はありますか?
はい。ただし大きな背骨は職人が取り除きます。残った細かい骨は、調理によって柔らかくなり、そのまま食べられる程度になります。
「肝吸い」とは何ですか?
うなぎの肝(レバー)が入った澄まし汁のことです。うな重を提供する際に、添え物として一緒に出されることが多いです。
なぜ四角い箱でうな重を出すのですか?
四角い箱にすることで、うなぎを隅々まで美しく並べて盛り付けることができるからです。
なぜ重箱を使うのですか?
漆塗りの重箱は蒸気を中に閉じ込めることで、ご飯とうなぎを温かく、しっとりと保ちます。
生のうなぎは安全ですか?
いいえ。うなぎの血には毒素が含まれているため、料理人は必ずしっかり加熱して、その毒を無害化します。
松・竹・梅とはどういう意味ですか?
これらの等級は量の違いを表します。松は最も多くのうなぎが乗り、梅は最も少ない量になります。
うな重の並・上・特上の違いは何ですか?
うなぎの質は同じで、うなぎの量だけが異なります。
体に良いですか?
はい。ビタミンA、ビタミンE、オメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。
「ひつまぶし」とは何ですか?
名古屋流のうなぎの食べ方です。まずはそのまま、次に薬味を添えて、最後にだし茶漬けで、三通りの食べ方で楽しみます。
等級によって質は変わりますか?
通常は変わりません。うなぎの質は同じで、価格帯によってうなぎの量だけが異なります。







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