練り切り(Nerikiri)

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和菓子屋さんの店先に、色とりどりの練り切りが並んでいます。その色合いと形は風情があり、思わず目を奪われます。見た目の美しさはもちろん、なめらかな口当たりと上品な甘さも魅力の和菓子です。いったいどのような材料や道具を使って作られているのでしょうか。本日はそれについてご紹介します。

練り切りとは?

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練り切りは、加糖した白あんに山芋と求肥粉(もち粉)を練り合わせて作る和菓子の一種です。いつでも楽しめますが、主に茶席で供されることが多いお菓子です。季節の趣を写し取り、色を付けて成形する芸術的な和菓子で、季節に合わせてさまざまな形に仕上げます。情景や花、動物などが題材になることもあります。なかでも有名なのは、桜の季節に登場する「桜練り切り」です。練り切りは、美しい見た目と繊細な味わいで広く知られています。

甘さと西洋菓子との違い

練り切りの甘さはとても淡くすっきりとしており、西洋菓子のマジパンと比べるとはるかに控えめです。マジパンがアーモンドと多くの砂糖で作られ重たい印象なのに対し、この和菓子は白あんと求肥粉を使います。やさしく素朴な深みがあり、とても自然な味わいです。甘さは鋭く立つのではなく、食べ進めるうちにじんわりと広がります。豆由来のほのかな塩味・旨味が隠れており、独特のうまみを感じさせます。とても澄んだ穏やかな味で、苦味のある抹茶との相性も抜群です。

豆生地と芋生地の違い

このお菓子には、使用するベースによって大きく二つのタイプがあります。ひとつは白あんと砂糖だけで作るタイプで、とても甘くなめらかな口当たりが特徴です。砂糖が多いため、やや高カロリーになります。もうひとつは、生地に山芋を加えたタイプです。こちらはより複雑で土の香りのするような風味が加わり、甘さも少し控えめになります。山芋由来の食物繊維が増えるため、いくらかヘルシーに感じられます。プレーンなタイプが砂糖の甘さを前面に出した味なのに対し、山芋入りのものはより深みのある素朴な味わいです。

やわらかな菓子がとろける食感

このお菓子を口にしたときの感覚は、柔らかく密度のある雲にかじりついたようなイメージです。とてもなめらかで、舌の上に上品な重みを感じさせます。もちのようにねっとりとはしておらず、きめ細かくしっとりとした粘土がゆっくり溶けていくような食感です。通常は生のままいただきますが、もし温めると生地は温かくとろりとしたペースト状になります。ごく薄い砂糖の膜のような甘いコーティングが残り、余韻の甘さを楽しめます。このゆったりとした口どけが、とても上質でなめらかな食感体験を生み出しています。

練り切りの歴史とは?

練り切りの歴史は、江戸時代ごろに生まれたと言われています。当時、古くから貴重とされてきた砂糖の値段が下がり、和菓子文化が一気に発展しました。職人たちは腕を競い合い、そのおかげで美しい意匠の和菓子が次々と生み出されていきました。

京都では、白あんと砂糖に小麦粉を加えて蒸し上げた「こなし」と呼ばれる生地を用いて、凝った意匠の和菓子が盛んに作られていました。やがて都が江戸へ移るとともに、練り切りも姿を変え、発展していったと言われています。

その後、練り切りは茶会や晴れの席に供される高級和菓子として定着しました。

練り切りの分類とは?

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練り切りは、和菓子の中で「生菓子」に分類されるお菓子です。和菓子は、水分量によっておおまかに生菓子・半生菓子・干菓子の三種類に分けられます。練り切りは水分を多く含む生菓子に分類され、その中でも特に芸術性の高い代表的な生菓子とされています。祝い事や特別なお客様へのおもてなしのお菓子であり、茶道の濃茶に合わせる主菓子としても、季節に応じて供されます。生菓子とは、水分を30%以上含む菓子そのものを指します。また、生菓子にもさまざまな種類があり、練り切りはその中でも最上級で贅沢な「上生菓子」の一つに数えられます。

練り切りの種類とは?

練り切りは、自然や風景を表現した日本の上生菓子です。動物・行事・人物などをモチーフにした意匠も多く、より身近に感じられます。テーマになっているのは、日本の四季です。

ここでは、春・夏・秋・冬の四季に分けた練り切りの種類をご紹介します。

夏の練り切り

summer nerikiri

暑い夏は、冷たいお茶とともに色鮮やかで華やかな練り切りを楽しめる季節です。この涼しげな練り切りは、白から青へのグラデーションが特徴です。表面に散らした「氷」のような意匠で、砕ける波しぶきも表現しています。

春の練り切り

spring nerikiri

春は草木が芽吹き、桜など可憐な花々が咲き始める季節です。この時期には、春の訪れを告げる花々をかたどった意匠の練り切りが多く作られます。この練り切りもまた、春の到来といのちの喜びを表現しています。

秋の練り切り

fall nerikiri

秋には、ハロウィンや紅葉など、秋らしいモチーフの練り切りが登場します。この紅葉は秋を象徴する意匠で、深い紅から淡いオレンジへのグラデーションがひときわ目を引きます。

冬の練り切り

冬の練り切り

冬は落ち着いて静かな印象を与えるので、白をベースにしています。モチーフもクリスマスやお正月など、冬らしいものが多いです。ちなみに、写真は数少ない冬咲きの花のひとつ「寒椿」です。

練り切りの材料は?

練り切り

ご自宅で練り切りを作る際は、次の材料が手に入りやすく、おすすめです。

材料 & 道具(6個分)
白あん500g
白玉粉30g
60g
こしあん60g
食用色素(カラーリング剤)
混ぜる用のスプーン
しゃもじ
竹串
ぬれ布巾

練り切りの作り方(レシピ)は?

さまざまな練り切り
STEP
生地を作る

まず、フッ素樹脂加工のフライパンに白玉粉と水の半量を入れて、ダマがなくなるまでよく混ぜます。そのあと中弱火にかけます。

STEP
混ぜる

残りの水を加え、さらに砂糖を加えます。ヘラでゆっくりかき混ぜながら加熱し、色が白から半透明になるまで火を通します。

STEP
白あんと合わせる

耐熱ボウルに白あん500gを入れ、ヘラを使って白玉粉の生地とよく混ぜ合わせます。粘り気がなくなるまで火にかけて水分を飛ばします。

STEP
かたくなるまで練る

次にゴムベラでよく混ぜながら、じゃがいものマッシュくらいのかたさになるまで、数回に分けて加熱し、そのたびによく練ります。

STEP
色を付けて成形する

ここからが楽しい工程です。食用色素で色を付けて、好みの形に練り切りを成形しましょう。中にこしあんを入れ、外側を白玉粉入りの生地で包むと1つの練り切りができます。なお、生地は冷凍保存が可能です。使う分だけ取り出してお使いください。 

STEP
抹茶や緑茶と一緒にどうぞ

練り切り作りはまさにアートです。完成したら、ぜひご家族や友人と作品をシェアして楽しんでください。

おすすめの練り切り専門店

かわいい練り切り

とらや

こちらは老舗の和菓子店です。とらやの創業は室町時代にまでさかのぼります。色とりどりの練り切りもいくつかあり、江戸時代から続く製法をベースに、見た目にも楽しいお菓子が今に伝えられています。

住所:東京都港区赤坂4-9-22 107-8401
営業時間:9:00~18:00
電話番号:03-3400-3856
価格帯:480円~
公式サイト:https://www.toraya-group.co.jp/

菓匠 菊家

移転したばかりの和菓子店・菊家は、1935年創業の老舗です。また、菊家が生み出す日本の伝統的な情景とともに、小さな四季を楽しむことができます。

住所:東京都港区南青山5-13-2 菊家ビル9階 107-0062
営業時間:9:30~17:00
電話番号:03-3408-4125
公式サイト:https://www.ycraft.co.jp/kikuya/

栄太楼総本舗 佐藤屋本店

佐藤屋では、練り切りのほかにも人気の和菓子があります。江戸時代から作られてきた、寒天菓子やバター、ナッツ、生クリームを使った菓子は、絶妙な酸味と香りが特徴です。佐藤屋は創業190年以上の老舗で、本店は昭和初期の建物をそのまま使用しています。

住所:山形県山形市十日町3-10-36
営業時間:8:30~18:00
電話番号:023-622-3108
価格帯:2,000円~

船定

「船定」は、明治時代から続く創業90年の老舗和菓子店です。また、練り切りはパステルカラーと、つい手に取りたくなるような柔らかな形が特徴です。定番の季節の花から、クリスマスやハロウィンなどの行事をモチーフにしたものまで、じっくり眺めて選びたくなる品揃えです。

住所:群馬県桐生市本町6-398
営業時間:9:00~18:30
電話番号:0277-44-5475
価格帯:900円~

まとめ

nerikiri

昔は砂糖がとても高価で、甘いお菓子は儀式やお祝い事など特別な機会にしか口にできない、とても貴重なものでした。時代が進むにつれて、砂糖は手に入りやすく、より身近な存在になりました。日本の和菓子は、昔からとても創造的に作られてきました。これは、古くから日本人がいかに創意工夫に富んでいたかを示しています。さらに、練り切りは数ある伝統和菓子の中でも、特に色彩豊かな菓子のひとつと言えるでしょう。やわらかな餅生地を外側に用い、それをこねて色付けし、さまざまな形に仕上げます。これらの意匠は、たいてい季節や行事にちなんだものです。こうした一連の体験は、特に観光客にとって、一つひとつが目でも楽しめる素晴らしい時間となります。外国人向けに練り切り作りを教えるレッスンもあり、美しい和菓子のひとつである練り切りに触れられる良い体験となっています。

練り切りの動画

練り切り(練り切り) FAQ

練り切りとは?

白あんと求肥(もち粉)から作られる伝統的な和菓子で、季節のモチーフの形に仕上げられることが多いです。

練り切りはいつ食べることが多いですか?

主に茶会や季節の行事の際に供されます。

練り切りはとても甘いですか?

優しい甘さで、抹茶のほろ苦さを引き立てるように作られています。

観光客でも練り切り作りを体験できますか?

はい、一部の和菓子店や文化体験教室で、練り切り作りのワークショップが行われています。

日本ではどこで練り切りが買えますか?

老舗の和菓子店、デパ地下の食品売り場、有名な茶道施設の周辺などで購入できます。

練り切りが訪日客に人気なのはなぜですか?

一つひとつが小さな芸術作品のようで、花や葉、季節のモチーフなどの形に作られているからです。

練り切りはベジタリアンでも食べられますか?

はい、植物由来で、ベジタリアンの方にも適しています。

練り切りはお土産として持ち帰れますか?

はい、可能ですが、とても繊細で日持ちもしないため、日本でできるだけ早くお召し上がりいただくのが一番です。

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